ペリーヌが頭に住みついたから

最近朝のサンテレビで*ペリーヌ物語の再放送をやっていて、

*昭和の古いアニメです

出勤前に見てるうちにハマってしまったんです。

続きを早く見たくてYouTubeを探したらやっぱりアップロードされていて、もう夢中で次から次に見てしまいました。全53話のうち、今43話まで見ました。

ペリーヌは13歳の少女なんですけど、とてもそうは見えないほどしっかり者なんです。馬車でインドからフランスまで行く旅の途中、お父さんもお母さんも死んでしまって一人になってしまうのに、百キロ以上歩いて目的地のフランスの田舎の村まで行くんですからね。かわいいのにすごい子 !!

田舎の村にはお金持ちの親戚のおじいさん(父の父)がいて、それを頼って村まで行ったわけですが、いろんな事情ですぐにはそのお屋敷の門を叩けなかったんですね。
それでどーしたかと言うと、なんと一人で村はずれの人気無い森の中の池の畔の使われていない小屋に住むんです。夜なんか真っ暗ですよ。食器とかも自分で工夫して作ったりして。これはもうふつーの女の子にできることじゃありません。私はこの子のそーゆーところがすごく好きで、ハマってしまったんですよね。このアニメを見て何度泣かされたかわかりません。嬉しくて感動して泣いたり、悲しくて悔しくて泣いたり…

私の頭の中にはペリーヌが住み着いてしまった…。
ペリーヌみたいに生きるんだ!! とかアホなこと考えたり…。
(私っていい年してほんとにアホだな…)

そんなある日の会社帰りの夕暮れ時、なんとなくアニメの物語みたいな出来事が私にも起こりました。

馬車では無く自動車なのが残念ですが、家の近くまで帰ってきて信号待ちで停車していた時のことです。
横断歩道を渡るお婆さんが歩くのがすごく遅くて、信号が変わるまでに渡りきれなかったんです。それで渡りきるのを待って見ていたんですが、だんだんお婆さんのコースが逸れて、こっちに向かってきたんです。

え? なになに? って恐るおそる窓を開けたら、

「❍❍病院までお見舞い行こうと思ったけどバスが無くて‥、歩いてたんやけどね、あの坂が見えて、嫌になって…」

それで私に乗せて行ってくれって言うんです。

もう19時を過ぎていましたから私は、「もうお見舞いの時間終わってるんじゃないですか?大丈夫ですか?」と訊きました。そしたら…

「ほんとにあつかましいんやけどねぇ、神戸駅まで送ってくれたら…」と言い始めて、けっきょく乗せてあげることにしました。

お婆さんを後部座席に乗せると車内にはお香のような匂いがしました。

「主人のお見舞いなんやけどね、タクシーでここまで来て人に訊いたらバスに乗ったらいいって言うのでバス停行ったら今日は休みと書いてあって…」などと、お婆さんは同じような話を何回かしていました。話が噛み合う感じでは無く、ただ一方的に話されることを私がうんうんそーですかと聞いているという展開で、あまり長時間は無理と思われました。幸い神戸駅までは10分程度でしたから何とか笑顔を絶やすこと無く、到着することができました。私はタクシーではないので、そんな心配はしなくていいと言えばしなくていいと思いますが…。

ドアを開けてあげるとお婆さんはよっこいしょと出てきて「お嬢さんのことは忘れません」と言いました。お嬢さん? なんかペリーヌみたいじゃん!!って私は心の中で笑っていました。

「お金を払いたいんやけど、このお金を払うとバス代が無くなるので…」って言ってましたけど、ハナから払う気が無かったのは見え見えでした。私だってそんなにアホじゃありませんもん。

ペリーヌはお金なんか絶対に受け取らない良い子ですけど、私は心が汚れているのでもらえる物は遠慮なく頂く主義ですからね。でもくれないって言うんだから無理にとは申しません。それじゃ気を付けて~ってお別れしました。

こんな出来事めったに無いよなーって、ニコニコしながら帰りました。これは神様が「退屈な貧乏にあえぐ毎日を繰り返す君にもちょっとドラマチックな体験させてあげよう」って与えてくださったドラマなのかもしれないね。

それなら神様、もっともっと人生にドラマチックくださいな。恋愛ものとかも。